更年期に入ると、生活習慣病のリスクが急激に上昇します。
(女性の更年期は、一般的に40代から)
今回は更年期に気をつけるべき命に関わる病気についてまとめました。
少しでも気になる症状があったら、迷わず病院へ行ってみましょう。
家族で悩んでいる人がいれば、早めに対策を講じましょう。
1日でも早く動くことが、その人の人生を救うこともあります。
それでは、本編です。
動脈硬化
動脈硬化とは、心臓から全身に血液を送り込む動脈の内壁がかたくなる状態のこと。
動脈硬化には、
- アテローム性動脈硬化(粥状動脈硬化)
- 細動脈硬化
- 中膜石灰化硬化
の3つのタイプが存在し、一般に「動脈硬化」といえばアテローム性動脈硬化を指すことが多いです。
動脈がかたくなると、血液をうまく送り出せず、心臓に負担がかかります。
細く硬い水道管に水を送るには、高圧力のポンプが必要ですよね。
それと同じで、心臓への負荷が高まります。
また、血管の中がせまくなって詰まりやすくなるため、必要な酸素や栄養分がいきわたらず、臓器や組織が正常に機能しなくなるのも動脈硬化の怖いところです。
血管が詰まったり破裂すると心筋梗塞や脳梗塞、脳出血といった深刻な病気の原因にもつながります。
特に更年期の女性は要注意です。
女性ホルモンには、赤血球の変形能力を高く保ち、血管をしなやかに保つ役割があります。
しかし更年期になり、女性ホルモンが急激に減少すると、血管のしなやかさが衰えてしまい、一気に生活習慣病のリスクがあがります。
なかでも動脈硬化は、前述の通り、心筋梗塞や脳梗塞など、重大な病気を引き起こす危険因子であるため、特に閉経後の女性はこれまで以上に注意が必要です。
脂質異常症
一般的に閉経後の女性の血液中では、女性ホルモンの減少に伴い、
・総コレステロール
・LDL(悪玉)コレステロール
・中性脂肪
が増加します。
一方で、HDL(善玉)コレステロールは減少していきます。
この変化はいずれも動脈硬化もリスクを高め、心臓に悪影響を及ぼし、動脈硬化につながることもあります。
特に、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールは、動脈硬化性疾患(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)と最も関係が深く、薬でLDLコレステロールを下げることで、動脈硬化性疾患のリスクを低減できることが実証されています。
糖尿病
更年期に遭遇する糖尿病は、食生活、運動不足などの生活習慣が原因のII型糖尿病がほとんどです。
更年期には女性ホルモンの不足により、脂質異常が起こり、悪玉コレステロールが増加します。
もし、高脂血症と糖尿病が併発してしまうと、動脈硬化がすすみ、最悪の場合、脳梗塞、心筋梗塞につながるといわれています。
糖尿病を防ぐのに有効なのが、食生活を見直すこと、日頃から運動習慣を身に付けることが大事です。
とくに運動は糖尿病の予防とともに、高脂血症、骨粗鬆症の予防にも大変有効です。
1駅分歩いてみよう、など軽い運動で構いません。
少しずつ運動する意識を高ていきましょう。
骨粗しょう症
女性が更年期を迎えると、エストロゲン(女性ホルモン)の急激な減少によって骨代謝のバランスが崩れてしまい、閉経後、1年に2%ずつ骨量は減ってしまいます。
さらに10年後には、骨量が20%も減少するといわれているのです。
若い時に蓄えた骨の量が減少して骨がもろくなり、骨折リスクが高まります。
閉経後には定期的に骨密度測定を受けるのがベターです。
下のグラフは、日本人の男女別の大腿骨折の発生率とその時代推移を整理したものです。
大腿骨折とは、いわゆるふとももから膝までの範囲の骨の骨折です。
これはきわめて重度の骨折であり、日常生活を送ることも難しくなる可能性があります。
引用元:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
上のグラフをみると、男性に比べて女性の方が圧倒的に高い骨折発生率となっているのが一目瞭然です。
これは更年期を境に、女性ホルモンが減り続け、骨密度が減少したことが原因です。
さらに恐ろしいのが、1987年の骨折発生率より新しい2007年の骨折発生率の方が格段に高くなっていること。
これは1987年ごろより、確実に医療技術が進歩し、生存者の母数が大きいことが大きな要員だと思いますが、やはり年齢を重ねた女性の骨の弱さを改めて認識させられる結果ともいえます。
上のグラフから、70代から急激に発生率が上向いていますが、あくまで骨折という最悪のかたちで骨の弱さが表面化したということです。
骨密度の低下は更年期ごろからスタートしているので、早めの対策が重要なのです。
・背中がまがる
・若い時より2cm以上身長が縮む
などの症状が出てきたら注意信号です。
医療機関などを受診するようにしましょう。
まとめ
今回は、更年期に注意するべき代表的な悩みについてまとめてみました。
いずれも更年期に入り、性ホルモンが減少したことが原因で様々な病気が併発してきます。
いまは医療技術も発達していますが、日頃からの食事、睡眠、運動に勝るものはありません。
1日でも健やかで生き生きとした人生をおくるために、お役にたてるよう、今後も情報を発信していきます。
それでは、今回はこの辺りで失礼します。